衛星データを使った体験学習プログラム

日本宇宙少年団おおいた分団における活動について

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① 活動のねらい
「衛星データを利用して調べたいこと」を課題とし、子ども達が何について興味や関心を持っているかを把握する。衛星の特色やリモートセンシングに対する理解を深めるとともに実際に画像データを操作し、衛星データが子ども達の身近なものとなることを狙いとする。また、子ども達が衛星データを媒介として能動的に「調べる」ことの動機づけを行う。

② 対象・人数等
総勢31名(YAC団員(子ども)、一般(子ども)、指導員、保護者で構成)

③ 活動場所
大分高専総合電子実験室(総合研究棟3F)

④ 活動内容(7月)
大分高専と日本宇宙少年団おおいた分団が主催となり、「衛星を知ろう」をテーマにJAXA「人工衛星ガイドブック」を用いて「あかつき」および地球観測衛星「だいち」などの説明を行い、人工衛星について学習するとともに、宇宙環境や地球環境についてみんなで考えた。また、「衛星データを楽しもう」と題し、衛星データに親しんでもらうために、衛星による観測について学習するとともに、実際に「だいち」によって観測されたデータをPCを用いて楽しむ活動を行った(7月19日実施)。初回であるので、PCでの操作法を学ぶまでにとどめた。


《活動の成果と課題》
人工衛星の初歩を学び、人工衛星には、探査衛星、静止衛星や放送衛星・気象衛星など位置を利用する生活に密着した衛星、だいちやランドサットなどの地球観測衛星などのいくつかの種類やそのための軌道があることを知った。衛星データを利用するためのソフトとしてRESTECの「リモ10ライト」を使用したが子ども達はもとより指導者を含め非常に使いにくかった。これをきっかけに子ども達にも使い易く、操作し易い衛星データ利用ソフトの開発が課題となった。


⑤ 活動内容(8月)
大分高専と日本宇宙少年団おおいた分団が主催となり、7月の活動の続き・発展の活動を行った。まず、衛星が赤外線を含むさまざまの波長の光を用いて観測していることを学んだ。この際、概念的に理解がむずかしい「波長」、「赤外線」について、概念形成を目的に、工作・実験を行った。具体的には、分光器の製作と観察、赤外線フィルターを用いた写真撮影などの工作・実験を行って、具体的に体験することにより、衛星データを利用する際に必要な概念の形成を促した。この後、子ども達が各自でPC上で地球観測衛星「だいち」や「LANDSAT」の衛星データを操作して楽しむ活動を行った。最後に、夏休み中に、「衛星データを利用しよう」または「衛星データを利用して調べたくなったこと」というテーマで各自が衛星データで調べたいこと、あるいは身の回りで調べたいことを行ってみよう、という課題を与え9月の活動研究に繋げた。「調べる」ための道具として、赤外線フィルターを各自に持たせた。


《活動の成果と課題》
◆8月の課題結果を基に、子ども達が調べたいことを整理した活動について
衛星データを利用するためのソフトとして7月に続いて「リモ10ライト」を使用したが子ども達にとって敷居が高く非常に使いにくかったので、独自にソフトを開発することにした。分光器による波長の概念の導入、赤外線による写真撮影による赤外線という波長を実感することは、大きな成果があったといえる。さらに、ナトリウムの暗線を分光の観測から子ども達自身で発見するなど、不思議の発見などの科学する心の育成につなげることができた。


⑥ 活動内容(9月)
夏休み中に行った自由研究について発表してもらった。赤外線フィルターを使ってとった写真や、「海の水の蒸発」から発展した自由研究などの発表があった。また、衛星データを用いて調べたいことをみんなでまとめた。さらに、人工衛星が生活に密着していることを知るための一つとして、「GPSで地球の大きさを測ろう」という活動を行った。具体的には、GPSで南北に50m以上離れた2点の緯度を測り、これから地球の大きさを逆算する活動である。GPSの原理も簡単に説明した。また、ISSを見ようと題して、ISSについて学習を深めるとともに、翌日(9月13日)に各自の家でISSを見ようと呼びかけた。


《活動成果と課題》
「衛星データを利用して調べたいこと」が課題であったが、結果をみると指導者が予測する答えや求める答えが少なく、衛星データの利用に対する子ども達のイメージする考え方が広範囲に及ぶことがわかった。参加者の中には海水塩分の%を実験結果から実証した発表があったが、衛星データ利用は、単に衛星画像データから得た学習だけでなく、衛星データをきっかけにした子ども達の幅広い学習プログラムとして効果的であるということが分かった。

(ⅰ)「GPSを使って地球の大きさを測ろう」についての活動
生活に密着した人工衛星のひとつであるGPS衛星について実感するための活動として、「GPSを使って地球の大きさを測ろう」という活動を行った。GPSの原理を、長いひもなどを使って具体的に説明し、次にGPSの信号を受信できる装置を指導者が自作し、「宇宙へつなぐ活動教材集」の中のテキストをアレンジしてワークシートを作成し、これらを用いて、実際に、南北に50m離れた2点の緯度を計測して、ワークシート上の計算で、各自で地球の大きさを求めた。

自作したGPS信号測定器
(自作したGPS信号測定器)


JAXA・YACテキスト
(JAXA所有、JAXA・YACテキスト「宇宙へつなぐ活動教材集」より)


(ⅰ)の活動成果と課題
上記のようにGPS受信機の自作を行ったが、全国で利用するためには、精度の良い既存のGPS受信器が必要であると思われる。 角度の概念、相似の概念が子ども達には難しいことが判明した。


⑦ 活動内容(2月)
(ⅱ)「色を合成しよう」についての活動
衛星データを利用する際に、困難な概念の一つに、様々の波長をディスプレイのRGBに対応させて表示させる、ということがある。たとえば、「だいち」のavnir-2のデータは赤外線を含む4つの波長帯(バンド)のデータから構成されており、赤外線を含む画像の表示の一つにフォールスカラーという表示方法があるが、これは、赤外を赤色表示,赤バンドを緑色表示,緑バンドを青色表示とする表示方法である。このように、観測された各バンドのデータをどのように表示するかによって見え方が異なり、これを理解しておくと衛星データの利用が格段に高まることになる。そこで、人間の目がどのように景色を見ているのかを学習してRGBで全ての色を表現できることを体験する導入活動を行うことにした。この活動の後に、実際に衛星データを楽しむ活動を行った。この際、自分のお家と通っている学校の間に不思議を発見しよう、という課題を与えた。なお、この際、おおいた分団指導者の開発した解析ソフト(仮称:足立ソフト)を使用して子ども達が実際に衛星画像データの操作を体験した。


《活動成果と課題》
独自に開発した「仮称:足立ソフト」を使用してみたところ、これまでと異なり、子ども達が勝手に自由に衛星データを扱って楽しむことができるようになった。半年前に比べて、フォールスカラーの意味を理解した上で衛星データを利用できるようになった。大分は緑が多いので、色の微妙な違いに興味を持つ子供もいた。保護者の方々もとても興味を持ったようである。壁の低い利用しやすいソフトの開発が重要であることがわかった。


⑧ 施行プログラムの実施計画について
テーマを設定し、本活動プログラムを継続的に行うことで、子ども達が「衛星データ」を楽しく学習できるよう計画した。継続して参加した子ども達が、本活動で少しずつ「衛星データ」についてイメージが見えてくるよう、活動教材を研究し、教材開発にも工夫を施した。さらに、衛星データを利用して、子ども達の科学する心の育成を意識し、様々な不思議の発見を目指す学習プログラムの事例として役立てていただきたい。


⑨ 試行プログラム実施に関わる活動のお知らせ
(第1回目(7月)活動案内)
(第2回目(9月))
(第3回目(2月))

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